④自主再生~粉飾決算をカミングアウト後、経営改善計画に基づき自主再生~
ご相談企業様情報
- 業種
- 印刷業
- 業歴
- 30年
- 損益状況
- 年商3億円 実態経常利益▲10百万円(表面+1百万円)
- 純資産状況
- 実態債務超過▲50百万円(表面+10百万円)
- 金融債務
- 3億円(主要行1行、地域金融機関4行)
- 従業員数
- 30名
- 地域
- 関東
専門家紹介事例
本件を統括するプロジェクトマネージャー兼財務担当1名、事業再生に長けた中小企業診断士1名で再生支援開始
対象企業様の問題点
当社は都心部から離れた、いわゆる工場団地の一角に位置するグラビヤ印刷業者で、ピーク時には5億円程度の売り上げがあった。
しかし当社も例にもれず、昨今の市場の紙媒体からインターネットへ遷移”の波に押され、
無策のまま売上利益は共に下隆の一途をたどり、当方が関わる5年前からは既にBSも債務超過状態に陥っていた。
しかし、赤字と無理な借入元金返済による資金繰りマイナス部分の補填のため、引き続き金融機関から調達し続けなければならなかったことから、
その信用を維持するために約6年前からいわゆる粉飾決算(売掛金、 在庫他いくつかの資産勘定を仕分け操作で膨らませていた)を始めていた。
しかし粉節は一度始めると時間が経てば経つほど修正困難となることが必定であり、
当社についても相談を受けた時点ではすでに5年もの間毎年赤字であったものを誤廃化し続けてきたため、
売掛金の回転期間が6か月超という状態になっていたことを始め、特にBSの資産の勘定科目に異常値を示すものが散見され、
経常収支比率も4年連続で100%を切る等、極めて不自然な状態となっていた。
また、当然に金融機関側も、数年前より当社側にこの異常値についての説明を求めており、
当社としては当初はその都度なんらかの特殊事情を繕って対応してきた。
しかし小手先の説明では納得を得られず、主要行は3年前より、他も順次ニューマネーの支援を見合わせはじめ、最終的には全金融機関、支援ストップとなった。
再生の過程および現在
当方は、プロジェクトマネージャー兼財務担当1名、事業担当の中小企業診断士1名で再生支援開始。
まず当方より、“銀行は決算書を読み取ることについてのプロ。よって粉師のみを理由に、
約定通りに返済や利払いをしている債務者を訴えた事例は聞いたことがない。”の旨、当社側を説得し、
①粉飾の事実を全金融機関に公表し謝罪
②後日、実態を明らかにした上で実現可能性が高く、 抜本的な経営改善計画を策定
③一方で、今後借入が困難になることは必至であるため、全金融機関に対し、当面1年間の元金返済予を依頼、
の方針で進めることとなった。
以降、まず粉師の事実公表からスタートし、すべての金融機関で当然に苦言、遺低の意表明等はあったものの、
社長の謝罪と今後の再建意思表明、およびこの再建は事業と従業員の生活を守るためであることを訴えたこともあり、
最終的には全金駐機関が前述の方向で再建を進めることに同意。
後日、売上は上がらずむしろ今後10年間は漸減傾向の一方で、工場の生産効率アップ、経費節減努力により実態経常利益は黒字化し、
8年程度で実態の債務超過も解消となる経営改善計画を提出し、全金融機関の同意を得。
以降、現在も概ね計画通りに再建を進めている状況