相談事例・実績

Case05 自主再生~構造不況業種の生き残り戦略~

01ご相談企業様情報

業種 乳製品卸・販売
業歴 60年
損益状況 1.5億円
経常利益 4百万円
純資産状況 債務超過 30百万円
金融債務 20百万円(地域金融機関3行)
従業員数 5名(他、アルバイト・パート15名)
地域 四国

02お客様の課題と専門家紹介

当社は地方の衛星都市に位置し、当初は当該地域の住戸に乳製品を配達することを主業とするいわゆる“地域の牛乳配達屋さん”であり、ピークの売上は3億以上であった。
しかし、バブル以降の大型マンション林立や大型スーパーの台頭を主因として、例にもれず徐々にその売上は減少の一歩をたどっていた。
当時の経営者はその状況を打破するため、5年前に自社保有の倉庫を改装した飲食店を開店し、3年前からは地元スーパーへの卸事業を開始したものの、経費がみ、結果的にはさらに赤字を計上することとなってしまった。

融資部門で法人営業を担当していた中小企業診断士と本件を統括するプロジェクトマネージャー兼財務担当1名でチームを組成

03ご提案内容と成果

当方は、プロジェクトマネージャー兼財務担当1名、中小企業診断士2名でチームを組成し、まず事業と財務の実態を把握。特に実態把握(デューデリジェンス)に於いては、事業面、財務面共に過去実績の事業部別分析を厳密に行い、その結果、赤字の主たる原因は慣れない事業(飲食および卸)に手を出したことにある一方で、本業の牛乳配達ビジネスにはかなり減少したとはいえまだ相当数の既存顧客がおり、まだまだ伸びしろがあることが判明。

これを基に“選択と集中”および当社の主たる仕入先である大手乳製品メーカーの意見·協力の約束を前提とし、敢えての“新規事業からの撤退、本業への回帰”を骨子とし、3年後から損益は黒字に転換し、それ以降7年間で債務超過も解消されるという経営改善計画を策定。

その計画をもって、当面の資金繰り対策とこの計画遂行に伴う撤退資金(廃業部門人員の退職金等)捻出のため、全取引金融機関に当面1年間の借入元金返済猶予およびそれ以降の元金返済軽減を依頼。

これに対し、一部の金融機関から構造的不況業種である“牛乳配達”への回帰に対する疑念の意見もあったが、本業の高い粗利率と前述の大手乳製品メーカーの、“当社は、その地域での中心的販売店であり、今後共近隣地域の販売店が廃業した場合は当社にその地域での販売をお願いしたいほど信頼している”という姿勢を受け、結果的には懐疑的であった金融機関の同意も得ることができ、結果的に全金融機関の支援体制が整った。

以降、結果論ではあるが、計画上赤字事業からの撤退作業をしていた2年間で2つの近隣販売店が廃業し、当該販売店の担当地域を当社が任されることなった。
これは期待はしていたが実現可能性に鑑み計画には織り込んでいなかった事象であったが、やはり計画以上に大幅な増収増益を実現し、
計画2年めより黒転し金融機関に対する返済も3年目で正常化、債務超過については順調であればあと3年で解消の見込みとなっている。