③政策金融公庫の資本性ローン(劣後ローン)を活用した再生スキーム
ご相談企業様情報
- 業種
- ファミリーレストランチェーン
- 業歴
- 40年
- 損益状況
- 年商30億円 経常利益10百万円
- 純資産状況
- 債務超過▲3億円
- 金融債務
- 8億円(主要行1行、地域金融機関4行)
- 従業員数
- 80名(他、アルバイト・パート50名)
- 地域
- 東北
専門家紹介事例
本件を統括するプロジェクトマネージャー1名、財務担当の会計士1名、税理士1名および事業担当の中小企業診断士1名で チームを組成
対象企業様の問題点
当社は同一県内に10店舗を保有し、地元の食材を使ったコスパがよくファミリー向きのレストランチェーンということで、
地元ではその名前を知らない人はいないくらいの有名企業であった。
損益では、全店舗が黒字経営となっており、一部の店舗では毎休日には行列ができるほどの人気であった。
一方で、過去に失敗したに他県への進出にかかわる資金借り入れ (3店舗の出店および撤退資金)がまるまる残存しており、
この返済負担が資金繰りを逼迫させていた。また、取引金融機関も債務超過を主因として、その債務者区分を破綻懸念~要注意としていたため、
店舗改装資金やスクラップアンドビルドにかかわる新規出店資金等の追加融資ができない状態となっていた。
再生の過程および現在
当方は、プロジェクトマネージャー1名、 財務担当の会計士1名、税理士1名および事業担当の中小企業診断士1名でチームを組成し、
まず財務DD(財務実態分析)および店舗毎の事業DD(事業の実態分析)を行った結果、
①当面の損益は黒字維持可能と思われるが、競合の大手ファミレスチェーンの出店状況に鑑み、これを維持するためには店舗の改装や修繕、新店舗開店等々が必須であり、今後かなりの設備投資資金が必要であること、
②実態の債務超過(資産を時価や回収可能性で修正した後の純資産額)は4億弱(表面では3億円)であり、現状の利益水準を維持できたとしてもその解消には数十年を要すること等が判明。
この結果を踏まえ、 メイン銀行経由で地域の再生支援協議会にバックアップを依頼した上で、
各金融機関の返済については一旦当面1年間の元金返済猶予を依頼し(暫定リスケ)、以降バンクミーティングを数回開催し、
第二会社方式をはじめとする実質の金融機関債務免除を伴うスキームを検討。
しかし、取引金融機関の一部は引当をしておらず、“損益黒字で当面破綻の懸念がない会社への貸付金を回収不能として実質の放棄をすることはありえない”、
との判断から当該スキームを真っ向から否定し、結局全金融機関の全同意には至らなかった。
しかし、幸いなことに、並行して動いていた政策金融公庫の資本性ローン(貸し出しではあるが、他の借入に劣後する債権とするため、
実質資本として見倣せる貸出)が使えることになったため、金融機関借入の内4億円をこれに借換実施。これにより、実態純資産はプラスとなり、
かつ支払金利負担もそれまでの半分近くまで下がったことから、損益についても大幅に改善、さらに資本制ローンの元金返済は、
それ以外の借入の完済後となる12年後からとなるため、従来の毎月の返済資金も約半額となり資金繰りも大きく改善。
現在、計画的に店舗の修繕、改装を進めており、盛業中。