①第二会社方式 ~営業譲渡による事業継続と従業員の雇用維持~
ご相談企業様情報
- 業種
- 総合建築業(公共工事4割、民間6割)
- 業歴
- 40年
- 損益状況
- 年商20億円 経常利益▲1億円
- 純資産状況
- 債務超過▲8億円
- 金融債務
- 19億円(主要行2行・地域金融機関5行・ノンバンク1社)
- 従業員数
- 45名
- 地域
- 関東
専門家紹介事例
弁護士3名の他、会計士2名、中小企業診断士2名、
本件を統括するプロジェクトマネージャー1名の計8名でチームを結成
対象企業様の問題点
当社は地方の農村地域に位置し、当該地域ではトップクラスの規模の地元有名企業であったが、二代目社長の放漫経営を主因として4期連続で赤字となり、
当方が相談を受けた時点では約8億円の債務超過となっていた。
また、この連続赤字と債務超過を原因として、メイン取引であった信用金庫も追加の融資ができない状態となっていた。
一方で、当社は前述のとおり地元では有数の規模の会社であり、
この会社の経営破綻は、当該地域の経済、雇用に相当の影響を及ぼすことが明白であったため、そのメイン行も対応に苦慮していた。
再生の過程および現在
当方(現在の当社団)では、まず会計士2名、中小企業診断士2名、弁護士3名プロジェクトマネージャー1名の計8名でチームを組成し、
まず事業、財務の実態把握をすることにより、当社の資産負債実態および事業面での優位点、問題点を把握。
結果、現状のままの組織体制、経営陣では自主再生困難ではあるが、事業の一部には利益率が高く今後も成長が期待される部門があることが判明。
ただし、プレパッケージ型民事再生等の法的整理では多数の地元下請企業の債権が損なわれてしまうことから、
いわゆるプロ債権者(金融機関)の債権のみに影響が出る第二会社方式による再生を当社側に提案。
以降、まず当該スキームをスムースに進め、新設会社が現在の当社の影響(金融機関からの強硬措置等)を全く受けない綺麗な形でスタートするには消極的なものでも
金融債権者全員の同意が必要であることから、メインの金融機関にその主旨を説明の上、その内諾および全面協力の同意を得。
そしてメイン銀行経由で第三者機関である当該地域の再生支援協議会に協力を依頼し、
一部の金融債権者(有税引当未済であった一部の金融機関)の反対、スポンサー探索問題、
下請け業者と現経営者の人的つながり問題(現経営者は地元の親分的存在であり、下請け業者から非常に慕われていた)、
第二会社である新会社に公共工事に必須である経営審査のランク引継ぎの問題等様々ハードルはあったものの、
最終的には隣接県の中堅同業者出資による新会社を設立し、同社に当社の収益部門および下請け企業を始めとする一般債権者の債権、
そして従業員の9割を引き継ぎの後、金融債務のみとなった当社を特別清算とすることで、スキーム(新設吸収分割)完遂。
以降新会社は、スポンサーから派遣の経営陣の基(下請けつなぎ止めの目的もあり、
旧経営者は執行役員として改めて雇用)で従前の活気を取り戻し、今では地域経済に大きく貢献する企業に返り咲いている。